データセンターを迅速に稼働
データセンターにおける電源分配の発展
新しいPDUコネクタでラックの設置をより迅速かつ簡単に
データセンターは、インターネットを支える重要な役目を担います。あらゆる産業が日々の業務をデータセンターに依存しているため、データセンターには高い可用性と障害発生時、短い平均修復時間(MTTR)が求められます。データセンターにはデジタル情報を蓄積、処理、伝送、アクセスするためのコンピュータ・サーバー、ネットワークおよび通信機器があります。これらの部品はすべて、信頼性の高い電源コネクタを必要とします。この業界は、従来の企業向けデータセンターと最近急速に成長しているハイパースケールデータセンター(AWS、Azureなど)およびコロケーションサプライヤー(Equinix、CenturyLink、デジタルリアルティなど)の双方で構成されています。
ラック用電源分配ユニット (RPDU) とは
データセンターのバックボーン ラック電源分配ユニット(rPDU)。基本的に大きな電源タップで、データセンターのラック内のIT機器に電源を分配するための主要な部品です。長年にわたり、rPDUを標準化する尽力がなされてきました。そのうちの最初の一つがマイクロソフトのOlympusプロジェクトです。
マイクロソフトの OLYMPUS プロジェクト
マイクロソフトは、急成長するデータセンターに対応するため、次世代のオープンソースハードウェアであるハイパースケールクラウドのハードウェア設計を規定する「Project Olympus」を立ち上げました。マイクロソフトの目標は、電源分配ユニット(rPDU)を含むハードウェア一式を共通化することでした。当時、同社のデータセンターには、在庫状況やリードタイムに応じて、さまざまなメーカーのrPDUが多数設置されていました。加速するデータセンターの成長に対応するためには、多くのベンダーからの製品を大量に在庫する必要があり、高コストになっていました。このため、マイクロソフトは標準化したPDUの開発を検討し始めた。標準化したPDUは、多くの異なるプラグ形状や電力レベルに対応します。rPDUケーブルの接続にハーティングの Han-Eco® コネクタを使用すれば、リードタイムは2週間未満に抑えられます。
OPEN COMPUTE PROJECT (OCP)
そしてこの設計は、マイクロソフトがOpen Compute Project (OCP)内でで推進しました。Open Compute Project(OCP)は、オープンソースとオープンコラボレーションをミッションとするコミュニティで、増大するデータセンターの需要を効率的にサポートするためにハードウェア技術の再設計に注力しています。
この取り組みの中でRack & Power Project Group は、ラックを標準化し、データセンターのインフラに組み込むことに注力しています。このグループは、Open Compute Projectの理念のうち、「grid to gates」と呼ばれる部分に貢献しています。この理念は、パワーグリッドから各マザーボード上のチップのゲートに至るまで、すべてのものの相互依存性を考慮した全体的な設計プロセスです。
パワーシェルフ入力コネクタ
OCPの取り組みで重要なのは、パワーシェルフの入力電源コネクタの仕様です。ハーティングは、ORV3 OCP 入力電源コネクタ仕様の開発に時間と専門性を投入し、この仕様の策定をリードしました。この取り組みの主な目的は、TCO(総所有コスト)を低減することです。そのために、グループはいくつかの重要な分野を特定しました:
- 全SKU(Stock Keeping Unit)の最小化
- 稼働の迅速化
- エネルギー効率の向上
パワーシェルフ入力コネクタの設計案は、定格50A@480Vのフィンガープロテクトコンタクト、ポジティブラッチ、電位コーディング、1つのパワーシェルフあたり4つのコネクタです。このコネクタは、製品化までの時間の短縮、設置の簡素化、コネクタのコスト削減などのメリットを提供します。